今回のテーマは、私の原点でもあり、関心をお持ちの方が多い「差別化」や「ビジネスモデル」についてです。
成熟業界の方ほど、どうやったら競合との違いを生み出していくかとか、競合ではなく自社で買って頂ける理由にはどんなことがあるのか、ということに強く関心をお持ちのことと思います。
しかし、私自身は、「差別化」ということについて、正直、全く関心がありません。
実際、自社グループの新サービスを考える上でも、どうやって「差別化」するかということを考えたことも悩んだこともありません。
なぜならば、最初から、競合がたった1社も存在しないようにと考えて、ビジネスモデルをデザイン(設計)するからです。
今現在行っている、またこれまで行ってきた当社の
「在宅秘書サービス」
「シェア秘書サービス」
「ビジネスモデル・デザイナー認定講座」
「シェア・ブレイン・ビジネス・スクール」
といったサービスも、類似のサービスはたくさん存在していても、そもそも戦っている(?)土俵が異なるため、それは戦いとも呼びませんし、きちんとした業界内での棲み分けとして、差別化について気にしなくても、長く存続し発展できるようにと考えて組み立てています。
具体的にどういうことなのかということについては、
月刊Share Brain Business Review 第24号(2013年11月号)
「TVで良く視る芸能人から電話がかかってきました!(驚)
~『戦略』の最もシンプルな定義とは?~」
の中で解説をしていますので、内容をお忘れの方は、この機会にもう一度ご覧頂けると嬉しく思います。
そのような中、明日の定例講義の中では、そのようなビジネスモデルというのは、どのような手順でデザインしていけば良いのかについて解説を行いました。
例をあげて、考えてみることにしましょう。
まず、ちょうど1年前、融資に強い税理士の方が、融資を支援するビジネスを考えたときに、どういうサービスになるかについて検討したことがありました。
ありがちな「差別化」としては、これから起業する方限定の融資のサービスですとか、何度も断られてしまいどうにもならない方のために、とことん融資がおりるようにサポートします、といったものがあります。
このようなことは誰でも考えつくので、すぐに真似されます。
ここには戦略もビジネスモデルもありません。
では、1年前、このようなケースにおいて、どのようなビジネスモデルを考えたか、記憶にはおありでしょうか?!
それは何だったかというと、美容室として開業したい方向けに、融資をサポートするサービスでした。
と言うと、そんなの誰でも思い付くよ、と思われると思いますので(笑)、もう少し、補足しましょう。
このモデルは、正確に言うと、美容師として開業したい方向けのサービスではありません。
顧客は美容師さんではないのです。そうではなく、顧客は、
「開業したいと思われる美容師さんの開業支援を
行っているコンサルタントの方や、内装施工や什器類を販売したい
と考えている会社さん」
なのです。
開業支援をしていたら、おりると思っていた融資がまずくなりそうだとか、そもそもそのような融資の手続きなどしていて忙しくなり、他の開業に向けての大切な準備(プロモーションなど)に時間が割けなくなってしまうようなことを見越して、開業コンサルタントの方を、融資という立場からサポートするのです。
つまり、開業コンサルタントのサービスを強化するために、この融資のサービスも一緒にあなたの顧客に販売しませんかというような角度からアプローチするのですね。
美容師さんのために融資のサービスをするのではなく、美容師さんの開業支援のサービスを強化するために融資のサービスをパッケージングして販売するような「ビジネスモデル」になっているわけです。
同じ、資金という面からのサポートでも、その他、実に様々なビジネスモデルが考えられます。
例えば、助成金の支援をされている税理士の方がいらっしゃるとします。
その場合、起業家の方に、助成金申請書類を代わりに書いて、助成金が得られるようにサポートするというのが、もっとも直球勝負のサービスだと言えます。
ただ、そのようなことは、みんなやることができます。
そこで、これをビジネスモデルという観点からリ・デザインするとどうなるかと言うと、上記の美容師さんの開業支援というサービスのときと同じ方法が活用できます。
例えば、上記と同様に、起業家のために助成金の支援をするのではなく、起業家を支援しているコンサルタントの方のために助成金の支援をするというアプローチが考えられます。
具体的には、今現在、月に10万円の顧問契約を結ばれているコンサルタントの方がいるとします。
そして、その中で、もし、起業家が資金のニーズが出てきたとしても、普通の企業支援だとしたら、それを外部の専門家にお願いして、解決するというのがほとんどでしょう。
そのような中、助成金に強い税理士さんが、そのコンサルタントの方に提携を申し入れたとします。
どういう提携かと言うと、あなた(コンサルタント)のクライアント(起業家)の助成金600万円を得るサポートをさせてくださいという形です。
そして、その助成金には、使い道として、これまで月額10万円の顧問契約をさらに月額10万円増やし、そのクライアントさんの支援範囲を拡大するような設計も行います。
するとどうなるかというと、助成金が得られた後のコンサルタントの方の顧問契約料は月額20万円になります。
起業家(クライアント)がコンサルタントに支払う金額は毎月10万円増えることになりますが、それは助成金から出るので、クライアントには負担はありません。
おまけに、助成金申請のサポートをした税理士も、手数料を手にすることができます。
クライアントは、その資金を活用して、活動をさらに前進させることが可能になります。
このように、デザインの仕方を工夫すると、誰もが得をするようなビジネスモデルを描くことができるわけですね!
そして、このようなことをしている税理士の方というのは、あなたの地域にどのくらいいるかというと、ほとんど耳にしたことがないのでないでしょうか?!
(あくまで、コンサルタントの方が月額顧問契約料金を倍にするためのサービスです、というコンセプトから見た場合の話です。)
これが、「差別化」を考えるということではなく、競合が一切存在しないようなビジネスモデルをデザインするということです。
もう1つ例をあげましょう。
資金繰りの支援をしたいと考える会計士さんがいたとします。
お金が困らないようにするために、日々の資金繰りや試算表の作成を代行しますなどというのは、皆がやっているので、差別化にさえなることはありません。
そこに戦略があるとは言えません。
そこで、なんのために資金繰りをしたいのかというのを掘り下げてみます。
その理由と目的は実に様々でしょう。
すると、単にお金に困っているから資金繰りに関心があるのではなく、新規の投資をしたいが、どこまで資金を使っても良いのかが恐いので、それをリアルタイムで知りたいのだ、というニーズがあることに気付いたとします。
そしてその新規の投資とは何かと掘り下げてみたところ、新しくお店を出すタイミングを見極めたいからだという答えを聞くことができたとします。
そうなると、その社長の悩みは「資金繰り」ではなく、「新規出店のタイミングを見極めたい」ということになるわけです。
となると、会計士として、ただ、試算表をどうのこうのするのではなく、新規出店に必要な財務状況を把握するための新しい指標を一緒につくり、その数字がいくつのときに、出店していいか、そして、その場合のリスクはどのくらいなのかということを一緒に構築していくことになります。
ただ、これではなんにも面白くもなんともありません。(笑)
そこで、社長のニーズに目を向けます。
社長は資金繰りに関心があるのではなく、新規の出店に関心があるのです。
ということは、お金という観点ではなく、新規の出店について不動産というサポートできる方と組んで、その社長さんのために、もっともっと力になるということもできます。
不動産を提供する側からすると、新しくお店を出す人の情報はのどから手が出るほど、欲しいものでしょう。
それが、このような新規出店タイミングのアドバイスをする側は、まさに、そのような情報をどこよりも早く入手できるという、優位なポジションにあるわけです。
では、不動産サービスの会社さんと、どんな風に手を組むことができるでしょうか?!
その答えをここで書くことは控えておきたいと思いますが、このようなことが、差別化を考えるのではなく、
「ビジネスモデルをデザインする」
ということなのです。
今回の定例講義は、このようなデザイン、リ・デザインはどのような手順を踏むことでできるようになるのかを解説しました。会場でご参加が難しかった方は、下記のテキスト・音声・動画をご活用頂けたら嬉しいです!
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