起業に必要な「強み」のつくり方
先週、何をテーマに起業して良いかを検討中の方と面談をしている時、こんな質問を頂きました。
「どうも自分には、強みと言えるようなものが何もないんですよ。何か資格でもとって起業した方が良いでしょうか?」
確かに、資格を取得した上で起業して成功されている方は、当社のクライアントの中にもたくさんいらっしゃいます。が、現実的には、そうではない方法をとっている方の方が圧倒的に多いものです。
では、それはどんな方法なのかと言うと、その答えを言ってしまうと、「な〜んだ、そんなことか。そんなの当たり前じゃないの?」と思う人の方が、きっと多いと思います。
が、いざ、自分が起業しようと考えた時には、そんな当たり前のことをついつい忘れてしまうものですので、改めてお伝えしたいと思います。
では、その起業に必要な強みをつくる方法とは何なのか? それは、今あなたの目の前にある、今現在の仕事を全力でがんばるということです。
もし、あなたが会社員であれば、今の会社の中で、ナンバー1になるくらいにまで、今の仕事に全力を尽くすということ。もし、あなたが経営者であれば、今の会社の仕事の中で、どれか1つでも良いので、業界ナンバー1になるくらい、いや、それでは決して十分ではなく、「世界1」のものとするまで全力を尽くす、ということです。
ただ、こう言うと、「私は今、会社で掃除をさせられているんですよ。それをがんばったところで起業に必要な強みなんて、つくわけがないじゃないですか!」というクレームを頂いたことがこれまでも、たくさんありました。
しかし、過去のクライアントさんの中には、会社の掃除をがんばって、簡単に汚れを短時間で落とす方法を生み出して、それで起業した人も現実的にはいらっしゃるのです。
たとえ、どんなに理不尽だなと思う仕事であっても、それを誰よりも追求すること。「強み」とは、そうした結果として授かるものであるわけですね。
私自身はと言うと、前職の経営コンサルティング会社に入社した時、コミュニケーション能力が半端ではなく低すぎたため、他のみんながしている仕事を全くといってほどさせてもらえませんでした…。
同期の皆が、標準化されたプログラムを活用して、企業コンサルティングをしている中で、その代わりに、私に与えられたのは、どうやって取り組んだら良いのか、さっぱり分からないような、新規事業のご支援ばかり。
メソッドも、マニュアルもない中で、しかも、先輩も誰もやったことがない仕事をゼロベースで考えて、現場で実行していくような仕事です。正直なところ、時間がかかる割に、成果も出ないですし、結果として、評価もされにくい仕事です。
同期の皆が、標準化されたプログラムで効率良く売上や利益を上げ、給料をどんどん上げていっているのに対し、私がしていたのは、真逆で、標準化など不可能と思える内容の仕事で、同期よりもたくさん働きながらも、報酬ははるかに低い仕事ばかりです。
正直なところ、「なんで自分ばかりがこんな割に 合わない仕事を…」と思ったことは、死ぬほどありました。
しかし、それが辛かったかというとそうではありません。むしろ、楽しかったのです! なぜならば、周囲の誰もがほとんどやったことがないチャレンジの連続だったからです。
私はコミュニケーション能力が著しく低かったので、先生と呼ばれながら会議室でミーティングを進めていくといったクールな仕事はできませんでした。
逆に、私がしてきたのは、クライアントの社長や現場の社員の方々と、現場で知恵を絞りながら、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返しながら、新規事業を立ち上げていく仕事です。クライアント、コンサルタントという垣根もなく、同じ会社の一員というような立場での仕事でしたので、接触頻度も高く、仲良くなりやすくコミュニケーション能力がひどい私もクライアントさんは、受け入れてくださいました。
また、私は、理系出身でしたので、新しい仮説を立てて、それを検証するという科学的なアプローチは得意でした。それが、クライアントさんに喜んで頂ける結果にもなりました。私が、今、新規事業や起業のご支援ができているのは、その時の経験があったからにほかなりません!
ちなみに、起業、新規事業ご支援という本業を進めていく中で、ある時、同業の誰よりも全力を尽くしたとある仕事がありました。それは、在宅勤務という形で働いてくれるスタッフの採用です。
これは、ただ適当に求人したのではなく、求人のためのキャッチコピーや、採用・面接のプロセスまで、命をかけるくらいの思いで取り組みました。お分かりの通り、そこで培ったものが「在宅秘書サービス」になったわけです。
ということで、今回お伝えしたかったことは、起業に必要な「強み」とは、今目の前の仕事を他の誰よりも全力で取り組むことではないかということでした。
あなたは、今、目の前では、どんな仕事に取り組まれていますでしょうか?
そうした仕事の中で、これだけは絶対にナンバー1になってやろう、世界1になっていこうと思う仕事はどれでしょうか?
実際に世界1になるために、これから新たにどんな努力を始めていかれるでしょうか?
この検討を通じて、あなたの「強み」がさらにさらに生まれてくることを願っています。