スタッフに任せたくても、任せる時間さえとることができない社長が、任せられるようになるための具体的な業務分解プロセスとは?

~なぜ本当は任せたいのに、任せられないのか?~ ※第34回 定例講義(中上級編)

2014年10月01日(水)【定例講義 中上級編】  【記事投稿者一覧→】

自分の仕事をスタッフに仕事を任せるのには、想像以上のエネルギーが必要となるものです。

経験的には、私自身が1時間でできることを、スタッフにお願いしようと考えた場合、そのための準備で最低でも1~2時間、場合によっては5~10時間くらいはかかります。

私自身が2007年に初めてスタッフの採用をしてから7年になり、お陰様で、想像以上の経験を積むことができましたが、それでも、今現時点においても、上記のような現状は変わることはありません。

では、そんなに時間がかかるのなら、大変だから自分でやってしまおうと考えるかというと、もちろん、そうではありません。

なぜならば、当たり前ですが、最初はそのように任せるためにはエネルギーが必要であっても、その次からは楽になるからです。

そのようなことは誰もが分かっていることでしょう。

それにも関わらず、なぜ、任せることに躊躇したり、諦めたくなってしまうものなのでしょうか?!

その答えは、とてもシンプルなものかと考えています。

人というのは、新しい「投資」に対しては慎重になるものです。

新しく仕事を人に任せる際に、追加で時間がかかるというのは「投資」を新規で行うことと同等です。

その「投資」が上手くいけば、自分の時間も節約できることになります。

一方で、上手くいかなければ、時間かけて引き継いだけれど、お願いした通りにはやってくれなくて、何ヶ月間も頑張っても任せることができず、結局、自分がやることになってしまったということになる可能性もあります。

「投資」ですから、上手くいかないこともあるわけです。

広告費に「投資」することを考える場合も、反応があれば、大きく売上や利益アップにつながることは分かっていても上手くいかないかもしれないから、広告費への「投資」をするのをやめようと考えるのと、構造は一緒だと考えられます。

このように、上手くいくかどうか分からない上に、今現在、すごく忙しい中で、あえて追加の時間を「投資」しましょう、と言われると、やっぱり、お願いするのはやめておこうかと考える方は、比較的多いものです。

任せることの意味や価値をご理解され、既に在宅秘書を採用くださっているクライアントさんでさえも、そのような気持ちをお持ちの方はたくさんいらっしゃるのが実状ですね。

では、どうすれば良いのでしょうか?!

人に任せるかどうか、という課題に限らず、前に進めたいことがあるのになぜか進まないような状況のときににすべきことは、ほぼ1つだけに決まっています。

それは、コーチングでよく使われる言葉を用いて表現すると「現状認識」となります。

そう聞くと、な~んだ、知ってるよ、当たり前じゃないかと思う方は多いものです。

ただ、残念ながら、その「現状認識」の力を上手く活用している方は意外と少なかったりします。

コーチング的に、「ゴール」を設定して、「現状を認識」して、その「ギャップ」を埋めるための施策を考えて…などと考えてしまう方が多いのです。

私はコーチとしても10年活動してきているので、そのような理論は知っていますし、使ってきたことがありますが、少なくとも自分自身に対しては少なくとも今現時点においては使っていませんし、コーチング・セッションにおいても活用していません。

なぜならば、キレイごとの理論で終わってしまい、これは私自身のスキル不足のところも大きいと思うのですけれど、行動できない人に行動できるような成果を提供することはほとんどできなかったからです。

そうではなく、重要なのは、「現状認識」です。

ゴールなど考えなくても良く、

   ただひたすら「現状」をありのままに見つめる…

だけで良いのです。

今の話の場合、何の仕事をスタッフに任せようか、任せるためにはどうしたら良いかということを考えるわけではありません。

自分は、今、どんな仕事をどのくらいの時間をかけてやっているのかな、ということを、ただ自分で自分を観察するようにして認識し、記録していけば良いのです。

人は、そのまま放っておくと、驚くほど、現状や自身のことを認識することができません。

いかに、今の自分は素晴らしいかと考えたくなるものですので、多少、都合が悪いことがあると、それを何かや誰かのせいにして、自分は悪くはないと思い込ませたくなります。

自己正当化のようなものでしょうか。

ですので、自分が認識していると思っている「現状」は、「現状」ではなく、今の自分にとって都合の良いように「歪曲された現状」です。

「現状」を正しく「認識」しな状態だと何が起こるのかと言うと、この仕事を任せられたらな、とふと思ったとき、いかに今の状況下では、その仕事を任せられないか、という方向に思考が進んでいってしまうのです。

そのくらい、「現状」を認識するのは難しいものです。

「現状」を認識するというのは、人に任せるかどうかをという対策を考えることではなく、ただ、今現時点での自分の仕事がどんな状況になっているのかを知るということです。

それが、

   ただひたすら「現状」をありのままに見つめる…

ということになるわけですね。

では、そのようなことをすると何が起こるのかと言うと、これは本当に不思議なことなのですが、「自己治癒力」のようなものが自然に生まれてきます。

いや、生まれてくるというよりも、もともと「自己治癒力」を私達は保有しているにも関わらず、

    自己正当化することにエネルギーがとられてしまうことで

その「自己治癒力」の発揮がなされない状態になってしまっているというのが、より正確な表現かもしれません。

この原理に気付くと、ゴールの設定や対策立案という概念がなくなっていきます。

むしろ、ゴールを設定したりすると、自分に都合の良い現状認識(自己正当化)をしている状況で立てたゴールですので、そのゴール自体が、それちょっとゴールとしては違うんじゃないの、というようなものに設定されてしまったりするリスクもあります。

いずれにしても、ゴールも必要なければ、対策立案も必要なく、ただ、今、目の前のことをきちんとしっかりとありのままに見つめていれば、勝手に正しい方法に進んでいってしまいます。

見つめているのに進まないじゃないかという場合には、恐らく、現状を自分に都合の良いように見ているだけにすぎないのかもしれません。

このような考え方については、以前にも何度か、「プロセス思考心理学」や「トランスパーソナル心理学」といった学問的背景についても解説してきたことがありました。

10月の定例講義(中上級編)の中では、あくまで、この内容を「自分の仕事をスタッフに任せるには?」という目的のもとで、解説を行いました。

その目的において、現状を認識するというのはどういうことなのかということをご理解頂いた上で、その上で、実務的には、どのような手順を踏むと、スタッフに仕事を任せていきやすいかということをご理解頂けたらと考えています。

参考までに、その際の資料の一部はこちらからご覧いただけます。

このシートには、対策立案のようなものも書かれてしまっていますので、10月の講義では、このようなシートを作成するとしたら、どういう順番で書き出していくのが良いのかという、実務レベルのことも解説しました。

テキストや音声解説ファイルは下記をご参照頂けたら幸いです。

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