当スクール認定講師であり、ビジネスモデル・デザイナー®の多田朋孔講師の書籍『奇跡の集落:廃村寸前「限界集落」からの再生』(農山漁村文化協会)が、1/12(月)に発刊されましたので、以下、詳細をご案内させて頂きます。
多田講師は、地方の限界集落の再生を、単にアドバイスをするだけで終わらせず、現場に入り込んで行うため、家族と共に、新潟県の十日町市の池谷集落に移住しました。
限界集落とは、高齢化が進み過ぎ、冠婚葬祭を含む共同生活や、地域の維持が困難と言われるような集落のことです。
多田講師が移住した際には、6世帯13名で高齢化率62%、子供は一人もいない状況でした。
このような集落であれば、さらに減少が加速し、集落の消滅も時間の問題となるものです。
それが、なんと現在は、11世帯23名で高齢化率39%、子供の割合は26%まで盛り返しているというのです。
このような崩壊寸前の集落を、V字回復させた多田講師の功績が極めて高く評価され、昨年には、Forbes JAPAN「ローカル・イノベーター55選」で関東甲信越地区読者投票1位に選出されました。
ちなみに、この55選の中の、他のノミネート企業としては、下記のような蒼々たる方々が
顔を並べています。
・東証一部上場 スノーピーク(新潟県三条市)
・面白法人カヤック(鎌倉市)
・サッカー日本代表 岡田武史 元監督(愛媛県今治市)
その他、多田講師自身が、地方自治法施行70周年記念総務大臣表彰で「地方自治の功労者(民間人)」として個人表彰を受けたりもしています。
そのような中、今回、11月12日(月)に書籍『奇跡の集落:廃村寸前「限界集落」からの再生』の出版につながった形となります。
都会に住んでいると、なかなか農村の現場の実態を知る事はできないものです。
ところが、実は、都市と農村というのは密接に関係している事がこの本にも書かれています。
例えば、農業には単に農作物を作る以外に、洪水を防止したり、土砂崩れを防いだり、地下水を作ったり、川の流れを安定させる機能や癒しをもたらす効果などがあります。
そして、それは合計すると、「年間で約8兆2000億円の経済的価値」があるという試算が、農林水産省のHPでも公開されています。
近年、大雨の後の土砂災害が多いように感じるのは耕作放棄地が増えている事とも無関係ではないのかもしれないと思えます。
農業を単に農作物を作るという観点だけで見ると、生産効率の悪い山奥の棚田のような農地はどんどん耕作放棄され、生産効率の良い平らな大規模農業だけになるという流れになってしまいます…。
ですが、そうなってしまいますと、本来大雨が降っても、山の上の棚田で、ある程度水を溜めて自然のダムのような役割を果たし、水が一気に山のふもとの平らな人が大勢住んでいるような地域に流れ込むのを防いでいたのが、それが、出来なくなってしまい、床下浸水などの被害が増えてしまいます。
つまり、生産効率の悪い棚田であっても耕作を続ける事で、都会の災害へのリスクを軽減できるという効果があるわけです。
多田講師は、ご自身の取組を通じて、このような都市と農村とのもちつもたれつの関係を多くの人に伝えながら、都市と農村をつないで、より良い社会の形を作ることを目指しています。
以上をご覧になられた上でも、限界集落など消してしまえばいいのでは、などと思う気持ちが一掃され、共感するだけではなく、応援したいという気持ちになられた方も多いのではないかと想像しています。
もし、以上のような社会提起課題に少しでもご関心をお持ちになられた方はもしよろしければ、次のような形でお力をお借りできたら、大変嬉しく存じます。
■1.農村の実態と都市と農村の関係性を知る
まずは、これは11月12日に発売された『奇跡の集落:廃村寸前『限界集落』からの再生』を、ぜひ書店にてお買い求め頂き、読んで頂ければと思います。
こちらの本の帯には、「社会や環境がよくなって、そしておもしろい」をテーマとしたソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」編集長として有名な、指出一正さんからの推薦文も頂いております。
また、過疎や限界集落等、農村問題の専門家として、政府の各種審議会の委員等も務めている明治大学の小田切徳美先生が、書籍の中では、 次のような推薦の言葉を書いて頂きました。
「これは、農山村再生という目標から、より高いレベルの都市農村共生構築への挑戦である。多田氏のこうした実践に導かれ、政策的にも、そして研究的にも新たな目標設定が求められているのではないだろうか。そうであれば、本書はその幕開けを宣言する革新の書に他ならない。」
■2.多田講師たちのつくられたお米を買う
多田講師が再生に関われた池谷集落で栽培した魚沼産コシヒカリのお米は、「山清水米」というブランド名で販売されています。
耕作を継続できるような経済の循環を生むためにお米を購入頂くという事は、非常にお手軽に棚田の保全活動に関わる事になります。
このお米で興味深いのは、山奥の棚田で作られているということです。
耕作しにくい場所で、大変な努力をされながら手間暇がかけられて作られたものであるわけです。
冬には3メートル以上の雪がつもり、春になるとその雪解け水が大地にゆっくり浸透し、ミネラルをたっぷり含んで田んぼに注がれます。生活排水が混ざっていない、飲める水です。
水がきれいなので、カエルやどじょう、貴重なサンショウウオやタガメ等水生昆虫などが沢山住んでいるとのことです。
初夏にはホタルも飛び交い、そして山地だからこその昼夜の寒暖差によりお米の甘味がぎゅっと増すわけです。
購入を検討される方は、下記のネットショップから注文が出来ます。カード決済も可能です。
■3.棚田の保全にゆるく関わる
より深く関わることを通して、この社会課題の解決の応援をされる方は、棚田のオーナーになることもできます。
当スクールの認定講師、受講生等でもオーナーになっている方が、少なからずおります。
ご自身でも農業の生産の現場を少し体感しながら、また、お子さんに作物を作る体験をさせながら安心・安全なお米を自分たちでも一部作ってみたいという方にはお勧めです。
もちろん、そうしてつくられたお米は、ご自身で食べることもできます。
棚田オーナー(1万円から)に関しては、こちらのページに詳細が記載されていますので、もしよろしければご覧頂けたら嬉しいです。
以上、多田講師の出版を通じて、地方からの再生という点について、以上、ご紹介をさせて頂きました。